第1章 右手
俺、一応聞いたの。貰った時。「なんで手袋?」って。もちろん欲しいなんていっぺんも言ったことないし。
そしたら…
「一番カンタンなのはマフラーなんだけど、それだとかさばるし、ちょっと…重いかなって」
「う、うん…」
手袋と比べてどっちが重いかってのは、ちょっと俺にはわかんないけども。彼女的には…そうらしい。つってもさ。俺ら、すでに付き合ってるわけ。恋人未満の状態なら、そゆのも考えるのかも知んないケド、今、それあんま関係ないような…。とかはちょっと思うよね。まあ、俺的には?(笑)
で
「帽子も考えたんだよね。でもほら。毛糸のって静電気スゴイでしょ?せっかくセットした髪の毛ブワァ~ってなっちゃったら、ちょっとダメだなって」
「…うん…」
それはつまり、セットした後にかぶる想定なわけね?
いや、言っちゃなんだけど、仕事中、髪の毛セットした状態の時だったら、絶対かぶんないよね。悪いけど。
いつだったかJなんてさ、撮影の合間だったのかな?スケートリンク上でもヘルメットかぶらなかったからね、あの人。ま、直してもらえばいいんだけど…めんどくさいんだよね。正直。メイクさんの手間っていうよりも、メンドクサイ。その時間も惜しいし?だから仕事の時(合間)はかぶりません。はい。それは、正解。
ま、プライベートでも俺は基本キャップ派だから。それも踏まえての「帽子はダメ」、だったんでしょうな。おそらく。
「…で?」
「で。そうなると、一番邪魔になんないのは手袋かなって♪」
「…」
そうね。そうなるか。毛糸モノって言えば…
マフラー!
帽子!
手袋!
みたいなとこあるもんね。この三点セットこそ王道、みたいなさ。…ま、俺には全部縁遠いものではあるんだけど。
だってそれらが必要なほど寒くないんだもん。かなりの時期までサンダル履いてるくらいだからね、私。移動も基本車だし、下手したらコートの中は年中半袖でもイケる!って環境なんだよね。
だから、ひょっとしたら“毛糸モノ”ほど、俺の生活環境から遠いものってないかもしれない。
と思った。
…頂いたモノを見ながら(笑)。