第25章 >>23 豆鉄砲を喰らう件
「、入って...。」
背中を軽く押されて、畳に足を踏み入れた瞬間。
他人事では無い、とてつもない不安と恐怖が足元から這い上がって来た。
此処で私は、今から。
誰かも知らない男の人に────
「震え過ぎじゃ無い?」
そんな私を気にもとめず、研磨は私の横を通り過ぎて中央の布団を踏み深く溜息を吐いた。
『え...研磨何して...。』
腰を下ろし上着を脱いで、髪を耳にかけ上目遣いでこちらを覗く。
そして2度目の大きな溜息。
「って、結構鈍いよね…。」
ちょっとショックかな。
そう続けて、まあ良いけどと呟くと布団を指さして見た事も無い色気の表情でふんわり微笑んだ。