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【HQ】ANARCHY【R18】

第24章 >>22 かくれんぼは苦手な件


二階に続く黒い木造の階段は、踏む度にキシキシと音が鳴り、これから訪れる瞬間を滑稽だと笑っている様で。
階段を上がった先の廊下に飾られた牡丹の花が、これまたタイミングよく綺麗に落ちた。
廊下の壁にかかる鏡に映る私は、心底ここに感染ってた。

『お似合いだ。』

「本当に似合ってるよ。」

自傷気味な言葉を後ろから救ってくれたのは、やっぱり研磨だった。

『みんなの為だから、頑張ってみるよ。』

精一杯の強気。
本当は怖いし、彼らの顔や声も脳裏を過ぎる。
でも、甘えてられるほどこの世界は優しくないのも知ってるし、それにそこに足を踏み入れたのは、どういう流れであれ原因は自分自身だ。

「そう...じゃあVIPルームに案内するよ。」

黒い木造の床が、階段と同様キシキシと嗤う。
心臓の音がうるさくなって、無意識に息も上がり、顔は俯きそして周りの黒は嗤う。
嗤う。
嗤う。

「なら大丈夫...。」

その言葉がただただ冷たく辛い。
そして、一際豪華な襖絵の前に立つ。
ずっと隠れて居られる訳無いんだ。
生温い、重い空気を食み嗚咽を抑え襖に手を掛けた。


襖絵の虎が嗤った気がした────
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