第22章 >>20 誰の誰も誰もがな件
「良いよ...クロ...俺も悪かった...。を助けたいんだ...。」
『研磨...でも私...。』
もう汚れて何色かわかんないよ。
そう続けようとした言葉は、大きな手によって遮られた。
「まあまあ、あの無気力研磨がやる気出してんだから。団結力はすんごいのよ?ウチのファミリーは。」
「クロ、恥ずかしい。」
「さっきは本当にすまん...ウチが責任持って匿う。俺はここの頭やってる黒尾鉄朗だ...。」
黒尾さんは本当に申し訳なさそうに何度も頭を撫でてくれて、そして研磨にも何度も頭を下げた。
それと先程までの暗い雰囲気や、行き場の無い悲しみや怒りはどこかに消えていた。
「ふーん...やっぱ面白そうな子。」
だから少し安心してたのかもしれない。
そんな私たちを見つめる猫の目に、その時は誰も気が付かなかった。
微かに香った、甘いメンソールの煙草の匂いは自分の物だと安心していた。
油断してたのだ、こんな闇の中で...。