第23章 >>21 件って付けりゃ良い訳じゃ無いよ(赤葦side)
目を覚ましたのは、あの惨劇から三日後。
目を覚ましたきっかけは、木兎さんの、耳に突き刺さるような泣き声だった。
白い天井、木兎さんの涙が蛍光灯の光できらきら輝いていた。
「木兎さん...滅茶苦茶ブサイクですよ。」
身体中が痛いのに、不思議と直ぐに出た言葉はこれだった。
そんな声に驚いたのか木兎さんは、シーツに埋めていた顔を上げるとくしゃくしゃな顔を更にくしゃくしゃにさせて、いつもの通り叫んだ。
「ぁあああああ...あーかーしいいいいいいいい!」
木兎さんを宥めようと伸ばした手に違和感を感じる。
ああ、不格好に爪を剥がされていたんだった。
「女の子を庇うなんてっ...俺は俺はお前が誇りだよあーかーしいいいいい!!」
うぇんうぇんと泣く木兎さんは、僕らの居場所。梟鸚鵡のリーダー。
木兎さんはDJの才能がずば抜けて良い。
観客の煽り方も全部無意識にわかってる。
こんな泣き虫な木兎さんでも、CLUB《Music KAKAPO》の経営者兼出演者だ。
「木兎さん、月島は?」
傍に一緒に転がってたであろう彼の安否を確認する。
「メガネ君なら、烏の所のチビちゃんが連れて帰ったぞ!大丈夫だ、あかぁーし!」