第22章 >>20 誰の誰も誰もがな件
「ねぇ、もうこの街を出よう。一緒にどこか遠くで、そうだ...ゲームでもしてのんびり暮らそう。」
研磨の放った言葉と、苦しそうな表情が胸に突き刺さった。
そんな私達を面白そうに眺める山猫が、大きな口を開けて笑った。
「月島君と赤葦から匿って欲しいって言われたけど、匿う必要なんて無さそうじゃん。」
嬉しそうに笑っているのに、目が深く深く濁っていて。
大きな大きな身体は、今にも私を潰そうとしている様に見えた。
彼は山猫。そうとしか思えなかった。
「クロ...ッ!待って...!は違う...俺が保証するから...だからッ...!」
研磨の表情は、見た事が無いものだった。
いつから彼はこんなに汗を流し、大声を出し、必死に大男の足に縋る様になってしまったのだろうか。
「違うのはわかってる。でも、...。」
髪を後ろに引かれ、耳元で紡がれる言葉は。
「飼い猫にされるつもりは無いんだなあ…。研磨、お前家猫にでもなるつもりだった?」