第17章 >>15 社畜は家畜な件
及川との一件以来、僕の周りは驚く程静かになった。
覚さんも若利さんも、及川も岩泉や研磨にも会わなくなった。
研磨とは連絡は取ってるものの、何やら忙しい様で。
僕はと言うと、若利さんに押し付けられた仕事を真面目にこなしていた。
若利さんはとても大きな金融屋で、沢山の債務者とその個人情報を束ねていたらしいのだが、ある日突然、ごっそり流出して他の金融屋に盗られたみたい。
で、流出元を特定して欲しいという理由なのだが...。
『こんな大規模な事...1人で出来るの?ハイスペックかよこの人。』
流出元は呆気なく見つかったのだが、腑に落ちない。
その理由は...。
ピンポーン────
「すみません。さんいらっしゃいますか?」
誰だよ。いや、誰だよ。
宅配業者以外は基本居留守。
「居ないみたいだね。」
「そうですね。」
ガチャン────
『はっ?!』
何やら話し声がしたかと思うと次の瞬間、非情にもオートロックが解除される音が部屋に響いた。
何で僕の家はこんなにセキュリティガバガバになっちゃったんだ。
「あ。」
「なんだ、居るじゃん。」
突然部屋に入ってきたのはふわりとしたクリーム色の髪をした眼鏡の男と、眠そうな目をした前髪の短い男だった。
それに身長が高い。
何で僕の周りはこうも高身長揃いなのか。