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【HQ】ANARCHY【R18】

第16章 >>14 冬の寒さは心な件



「そんなに怯えないでよー。...とりあえずシャワーでも浴びてきなよ。もうすぐ岩ちゃんも来るだろうし。」

え...ここに?
その言葉すら喉から出る事も無く、空回りに終わる。
揺らぐ視界を無視して、警笛の鳴り響く脳より先に風呂に向かう。
前のめりで、這う様に、無様に、縺れそうな足に怒りを込めながら。
たどり着いたお風呂は冷たくて。
お湯も張られていない浴槽に座り込み、ノズルを目一杯捻りその時を待つ。

ザザザザザ────

『 ッ!!』

勢い良く流れ落ちる冷水。
このまま死ねば良いんだ。
水滴が肌に触れると、じんわりとそこが赤くなる。
冬の風呂場で冷水。
今の自分にはぴったりでしょ。
水の流れる音に身を委ね、喉が裂けそうな程の叫び声。
枯れ果てた涙を再現する様なシャワーを睨み、唇を噛み締めた。

「うっわー...レイプされた後の女の子みたいだね。」

磨り硝子の向こうに現れた男の影に身体が震えた。

「岩ちゃんなんて来ないよ。」

ザザザザザ────

相変わらず勢い良く流れ落ちる冷水は、凍える程に冷たくて。
心臓がバクバクして。
このまま心臓発作で死んでしまいたいとすら思った。
願わくば、この冬の寒さのせいだと思いたい。

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