第15章 >>13 制御出来ない件(及川side)
普段なら及川さんだよーっとこれみよがしに自分をアピールしたいのだが、今日は真逆。
頼むから俺の客は現れるな、俺に気付くな、そう思いながら出来るだけ中道を通り目的の場所に向かう。
以前、牛若ちゃんの所にいる川西という男からキチィちゃん、の情報は受け取っていたので自宅もすぐわかった。
家のロックナンバーもわかった。
でも。
『...ん......。』
家に送り届けて、ベッドに運んだまでは良かった。
後は帰るだけだった。
なのに。
「ねぇ、ちゃん??」
帰ろうとした時の腕がするりと伸びてきて、俺のコートの裾を掴んできた。
何ですかこの可愛い生き物。
むかつく。
「離してよー、及川さん帰れないでしょー?」
その腕を振り払おうと力を込めてみるも、なかなか上手くは行かない。