第14章 >>12 初めてのホスト遊びな件(及川side)
「これで、酒を出してやってくれ。」
その目線に気付いたのか、牛若ちゃんが間髪入れずに懐からいくつかの札束を取り出す。
金で解決する。
こいつらしいやり方。気に食わない。
「またそうやってお金で解決するつもり?」
頭悪いんじゃない?と毒を吐く。
自分でも今の顔は、最高にゲスい顔をしてるんだろうなと思う。
人を小馬鹿にしたような、そんな目をしてるだろう。
「なあ及川...お前と牛島が犬猿の仲っつーのは、この子には関係ないんじゃないか?」
そんな顔を見たまっつんが、冷静にそう言うと、俺の顔が他の客に見えないように正面に立った。
真剣な目が、今は駄目だぞと言いたげにじっとこちらを向いていた。
ずるいよまっつんそんなの。
「じゃあ、頼んだ。」
最初からこうなると予想してたように余裕のある口振り、態度、威圧感。
全部が一々癪に障る。嫌いだ。
周りの客に見えないように下唇を少し噛んで、口を少し開けて。
「みんなごめんねー!さあ、今日も楽しもうね!」
ほらいつもの笑顔で。
指名を受けた客の元に戻る。
横目でちらりとを見ると、目をとろんとさせて、ぼーっとフロアを見つめていた。