第3章 >>2 会議は迅速な件
料亭《悪戯子猫》────
高級感が溢れるここで、ある男達が集まっていた。
「何でうちですんの?」
黒髪が鶏冠の様に跳ねた男が不機嫌そうに言い放つ。
「クロの言う通りだよ。」
その隣で同じく不機嫌そうなプリン頭の男。
「別に良いじゃん!今この店潰そうとか思ってる訳じゃ無いんだからさ。」
「木兎さん。ここそういう店じゃ無いです。」
白髪の男が、従業員の女の股に手を突っ込み、女はだらし無く喘ぎ続けている。
それを見かねた前髪の短い男が呆れた表情で呟く。
「えー?そういうお店でしょ??自由恋愛だよね?俺も好きになっちゃったしなあ…ねぇ?」
その対面には、並べられた料理を食べながら隣に従業員の女を座らせ楽しく話す一際目立つ男が笑う。
「人様の店に迷惑かけるなクソ及川。」
それを鬼の形相で睨むガッチリ体型の男は拳を握り締めた。
「んもぉーう、赤葦も岩泉も真面目すぎて反吐が出るゲス!」
そこに元気よく声をかける、真ん丸目の男は両手を広げてそれを遮る。
「お前のその語尾、本当にやめろ。」
ぼそりと日本酒を口に含みながら、静かにそう呟く男。
「何だか毎回思うけど、これカオスだべ。」
「本当にキャラが濃すぎる。」
真面目に出された食事を黙々と食べる、シルバー色の髪色をした柔らかい物腰の男と、その隣でうんうんと同意する黒髪の男は早く帰りたいという様な顔で集まったメンバーを見た。
「おい及川。うちの可愛い従業員に手を出すなよ。」
「えー?同意だよ??同意のうえでしてるんだよー?」
ちゅっちゅと、わざと音を鳴らして及川は従業員の女にキスをした。
「そんな事より本題だ。」
地を這うような怒りを込めた声が部屋に響く。
途端に周りは動きを止めてその声の主を見る
「牛若ちゃんの所も、だーいぶやられたみたいだもんね。」
及川はへらりと笑いながらそう言うと、岩泉に目線を送る。
「こっちは従業員と太客のパイプをやられた。見事に全部だ。」
その目線に答える様に自分たちも被害者である事を伝える。
その言葉にその場に居た全員が、ふむ、と小さく考え込む。
「うちは信用が一番の金融屋だ。なのに顧客情報が全部持ってかれた。」
おちょこをぐっと握りながらそう言う牛島は、怒りに腕を震わせた。