第13章 >>11 似た者同士な件
『ステージ、選んで良いよ?』
「ああそう。じゃあここ。」
画面に表示されたキャラクターはまさかの被り。
相手のヒットポイントの右上に表示されたプレイヤー名は《宇宙猫》。
僕はこいつを良く知ってる。
「下克上。直接戦うのはじめてだね、《いちご》さん。」
自分が一番なら、こいつはいつもギリギリのポイント差でそこに居る絶対的2位。
僕がする色んなゲームランキングに必ず2位に居るプレイヤー。
どんな奴かと思えば、同い年位の男。
『まさか、僕も会えると思って無かったよ。スペースニャンコさん。』
昨日の出来事なんか吹き飛ばすような喜びと高揚。
自分は今、最高に気分が良い。
ジャージのポケットに入れていた煙草を取り出し、深く口元を覆っていたマフラーを少しずらし咥える。
カリッと、煙草の根元にあるカプセルを噛み砕いて香りを変えて、
100円ライターで火を灯せばそれが合図の様に、試合が始まった。
互角の戦い。
僕も彼も一歩も譲らない戦い。
それがたまらなく楽しかった。
自然と口元が緩み、煙草を吸うのも忘れて無我夢中で画面を見つめた。
彼の無駄のないコマンド入力、こちらの動きを予測して次の攻撃にうつる素早さ、全部が魅力的だった。
あっという間にその楽しい時間も過ぎ、彼と目が合う。