第13章 >>11 似た者同士な件
寒い冬空の下、満腹になった心地良さと苦しさに悶えながら繁華街を歩く。
真昼間だというのにこの街は相変わらず鉛色をしている。
道に転がるゴミ、昨晩誰かが吐いたであろう嘔吐物。
下水から立ち込む酷い悪臭。
人は顔色一つ変えず、その日常を歩く。
僕もその内の1人。
場面は変わってゲームセンター。
自宅と並んで落ち着く場所に指定されたそこは、若者達で溢れかえっていた。
プリクラコーナーを横目に、奥に設置された喫煙エリアに向かうと、一番のお気に入りがある。
格闘技ゲーム。これだ。
早速小銭を入れてプレイする。
自分の名前は、常に1位を表示していた。
呆れる程の優越感。達成感。
「ねぇ、僕と勝負してよ。」
突然隣のゲーム機に、プリン頭で赤いジャージを着た男が現れた。
チャリンと、小銭を入れる音がするとこちらの画面に《挑戦者が現れました》と表示され、けたたましくサイレンが鳴り響いた。
隣を見ると、その男は既に画面を見つめていた。
「やらないの?」
呆然と彼を見つめていると、画面から目線を逸らさずそう言う。
分かり易い、あからさまな挑発。
そんなの乗らない理由がない。