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【HQ】ANARCHY【R18】

第12章 >>10 我慢の限界な件



『若利…さん…。そこにある服取って下さい。』

「ああ、ほぼ裸だからな。」

仕方ないと諦めて、彼からの依頼を受ける。
とりあえず何か着るものがないかと辺りを見渡し、床に無造作に放置されたこれまたジャージを指差す。
ジャージは楽だから良いんだよ。
と、それはさて置き早く終わらせて、早く関わりを絶ちたかった。

ん?

『何で裸って…。』

「廊下で全裸、しかも涙と唾液と鼻水で顔はぐしゃぐしゃで、股から血を流して倒れてたら風呂くらい入れてやるだろう。」

くわえて、下着も履かせた。と。
平然と、淡々と、それが常識だろうと言わんばかりの堂々とした口調で彼は言い放つ。
この言葉は僕なんかが言う柄じゃ無いし、大嫌いな言葉だけど言わずには居られなかった。

『やだ…もうお嫁に行けない。』

棒読みだが、本当にそう思った。
すると、眉間に皺を寄せ、大変不機嫌そうに彼はこう言った。

「俺の所に嫁げば問題無いだろう。」

最初は耳を疑った。
何かの冗談だろうと、彼をそろりと見ると何だ文句があるのかと言いたげな程不満気な顔。
真剣な目が、すっとこちらを見つめる。

『そういう冗談嫌いです。』

「いや、牛島になれば良い。」

何故か右手にゼク○ィを持って、左手にはピンクの婚姻届。
しかも記入済み。
これが及川なら、あの取って付けた様な笑顔で言うのだろうが彼は真顔。
口角は上がりも下がりもせず一文字。
僕の中の何かがぷつんと音をたてて切れた。

『ぬあああああ!!!たまたま飲みに行って帰りにホストに捕まって、そのまま家に連れてかれいきなりジャージ下げられて自分のあそこは見られるわ、途中で来た目つきの悪い奴とチビにわーきゃー言われ、そのまま身バレするわ、最後に来た奴に髪の毛引っ張られ挙句家までついて来てレイプされるし、昨日から混乱続きで次は起きたらあんた!!合鍵って何?!何勝手に不法侵入しちゃってんの?!!しかも結婚って、僕の許容キャパ既に振り切ってるんですけど?!!オーバーしちゃってるんですけど???!』

止まらない不平不満が堰を切ったように口から飛び出た。
こんなに早口で、大声で自分の気持ちを伝えたのは何年振りだろうか、もしかしたら十数年振りかもしれない。
こうも叫ぶと、息は上がるし頭に血がのぼって顔も赤くなる。
ぜぇぜぇと肩で息をしながらきつく彼を睨む。
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