第11章 >>9 ただただ痛い件
続くのは深い深い口付け。
思考が停止して動けない。
思わず閉じる唇をこじ開ける様に彼の長い舌が入ってくる。
嫌悪感。
『………っ!』
退けろ、退けろと彼の胸を何度も何度も叩き続ける。
次第に溢れる涙。
やっとその深い口付けから逃れると、次は腰を引き寄せ密着される。
『警察…っ…呼びますよ?』
咄嗟に出た言葉は、自分でも変だと思う程滑稽だった。
「どの立場で言ってんだよォ〜。」
そりゃそうだ。
でも、こんなの間違っている。
彼の冷たい指がパーカーの中に入ってきて、背中を伝う。
「どんな形であれ、男を家に入れちゃう意味、わかってんの?」
それとも、ちょっと期待したァ?
意地悪な言葉が耳元で囁く。
その言葉が脳に響くと、ある意味自己防衛なのか、じわりと下腹部が疼き、下着がほんのり濡れた感覚がした。