• テキストサイズ

【HQ】ANARCHY【R18】

第9章 >>7 唐突な件



『っ…わかったんなら。』

「帰せないよ?」

日向の声が、耳に響く。
まだ聞きたい事が山ほどあるんだからと言いたげな視線は、この場の誰より怖かった。
正しく、日照り雨。
表情は先ほどと変わりなく、ただ存在そのものがガラリと一瞬で変わる。
そんな感じである。

「でも、この扱いは無いだろ。」

パッと結束バンドがハサミで切られると、その跡を撫でられる。
優しいその手つきに、酷く安堵した。

「またそうやって優しくするー!」

「天童さん、落ち着いて。」

影山がなだめると、つまんないとそっぽを向いてしまう。

『僕、か…帰りたいんだけど。』

駄目元でもう一度呟く。
ぐっすり眠りたいし、お風呂も入りたい。
何より、自分が最も安心できるあの部屋に早く戻って、全部忘れたかった。

「とりあえず、違ったんだし良いんじゃないのか?」

岩泉がまた助け舟をこちらに出してくれる。
何とも優しい奴なのだな、この街に本当に似つかわしく無い。
でも、その一瞬でも岩泉の優しさに甘えたくなった。

「じゃあ、俺が送ってく!どうせ家もわれてんだし!」

天童がニコニコとそう提案すると、他の皆は何とも苦虫を噛み潰した様な顔をした。
それよりも、自宅がバレてるのがショックだった。

「いや…この状況でお前は無いだろう…。」

呆れた様に言い放つ岩泉の言葉に、天童以外は皆うんうんと同意の頷きをした。
/ 100ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp