第6章 >>5 地獄の沙汰も金次第な件
男の手を取り、人差し指をペットボトルの口に入れる。
「ひきっ…勘弁して下さい…っ!」
次に行われるであろう行為に怯える男は、大粒の汗と涙を流した。
「まだなんもしてねェーじゃん。つか、質問の答えはー?」
ぐぐっとペットボトルに力が込められる。
咄嗟に男は口を大きく開けて叫んだ。
「キチィに!!!キチィに勝ちたかったんです!!!」
ポキッ────
思わぬ名前に、ペットボトルを持つ手に力が入り人差し指があらぬ方向に曲がる。
「ああああああああああああ!!!!」
断末魔が再び。
それと同時に、興奮した天童の荒い息が部屋に滞る。
「えっ…?!何何?!お前キチィちゃん知ってんの?!」
勿論男は答えない。
答えれない。
「ちょっ、待ってよ待ってよ!知ってるなら早く言ってよ~!」
ポキッ────
再び鳴り響く少し高い音。
それと同時にまた叫ぶ男。
それが幾度と無く繰り返された後、天童は意識を失ったその男を蹴り飛ばした。
「川西~?こいつの家のパソコン、とりあえず押収して、後こいつにキチィちゃんについて知ってること、片っ端から聞いて、コンクリで歯型割ってからドボンしといてー。」
部屋の外で待っていたであろう川西という男にそう告げると。
「俺は若利君の所行ってくるわー。」
何事も無かったかの様にコートを羽織ると、嬉しそうに飛び出して行ってしまった。
じわりじわりと色が染み込んでいた。
交わるのはそんな遠くない未来。