第6章 心をこめて花束を【うちはイタチ】
サスケがつくってくれたおにぎりと、リエと母さんがつくってくれたご馳走を食べ終えると、母さんがお茶を、そしてリエが台所からケーキを持って来てくれた。
生クリームの塗り方からして、サスケが仕上げたのだとわかる。
イチゴのデコレーションはきっとリエだろう。
「すごいな、至れり尽くせりだ」
そう言うと、サスケは得意げに、リエは嬉しそうに笑う。
サスケも、リエも、母さんも。
皆が笑顔で、温かな優しい時間は、あっと言う間に過ぎていく。
「サスケ、あれ、取りにいこう」
「あぁ、わかった」
食べ終わった皿を母さんと片付けている間、リエとサスケが何やらこそこそと話して部屋を出て行った。
それを尻目に、聞こえていない、知らないフリを通す。
「…イタチ、珍しく顔にやけてるわよ」
母さんに小さくそう言われ、自分で驚いた。
感情が顔に出るなど、まだまだだな。
「精進するよ」
「そういうつもりで言ったわけじゃないんだけどね」
皿を洗う母さんも、呆れながらも嬉しそうに笑っていた。
「あの子達、今日の為に色々準備したのよ。サスケも率先してお手伝いしてね。サスケもリエちゃんもあなたのこと大好きだから、あなたに喜んでほしくて色々考えたみたい」
「…わかってるさ」
そう、わかってる。
だからこそ、こんなにも嬉しい。