第6章 心をこめて花束を【うちはイタチ】
風呂から上がると、またサスケが迎えに来てくれた。
俺の手を引いて、今度は早く早くと急かして来る。
髪がまだ濡れたままだが、サスケのキラキラした目を見たら待っていろと言う気も起きない。
「「お誕生日おめでとうイタチ!」」
扉を開けると、紙で作った輪飾りで装飾された部屋で、リエと母さんが祝いの言葉をかけてくれた。
テーブルには目一杯のご馳走。
その中には形の歪なおにぎりもあった。
中身はきっと、俺の好きな昆布と、サスケの好きなおかかだろう。
「…おめでと、兄さん」
手を繋いだままのサスケが、そうはにかんだ。
一人だと特に意識もしない一日が、大切な人達のおかげで幸せな一日になる。
「ありがとう、皆」
心から、感謝の言葉が出た。
皆の眩しいくらいの笑顔が、ただ嬉しかった。
「イタチ、座って!ごはんね、ミコトさんと私で一緒につくったの。サスケも手伝ってくれたんだよ!」
「サスケが?」
「お、おにぎりだけだよ…下手だし」
「下手じゃないよ!初めてとは思えないよね、イタチ」
「あぁ。美味そうだ」
すかさずフォローをいれるリエをさすがだな、と思いながら、なるほど少々歪なのはサスケ作か、と納得した。
照れて目をそらすサスケが、なんとも愛らしい。
いただきます、と声をかけ、歪なおにぎりを口にする。
案の定、昆布にぎり。
「美味い」と言えば、サスケは嬉しそうに目を輝かせた。