第6章 心をこめて花束を【うちはイタチ】
「これ、私とサスケからのプレゼント!」
そうリエから手渡されたのは、小さな花束だった。
色とりどりの小さな花々が綺麗にまとめられラッピングしてある。
どう見ても花屋で売られているものではない。
なるほど。
昼に川原で二人を見かけたのは、これを探していたのか。
「…ごめんねイタチ。小さいし…買ったものじゃないんだ。おにぎり以外にも何かあげたくて、誕生日だし、お花プレゼントしたかったの。でも、お花束は買うお金なくて…」
もらって黙っていたのを気に入らなかったと勘違いしたのか、リエが申し訳なさそうに謝ってきた。
その隣で、サスケも不安げな表情を見せていた。
「いや、そうじゃない。すまない、嬉しくて言葉が出なかっただけだ」
「…本当?」
「あぁ。俺の為にわざわざ綺麗な花を選んで探してくれたんだろう?二人の気持ちが本当に嬉しい。ありがとう、リエ、サスケ」
二人の頭を撫でてやると、花が咲いたような笑顔を見せてくれた。
最近あまり構ってやれなかったからか、特にサスケは嬉しそうだ。
野に咲いた名もなき花は、微かに甘い香りがした。
幼い二人からの、心のこもった精一杯のプレゼント。
ありがとう
サスケとリエに出会えたこと
それが俺がこの世に生を受けて、一番の幸せだと、思った。