第6章 心をこめて花束を【うちはイタチ】
そして、翌日。
今日の任務は子守だった。
Dランク任務なんて久しぶりだ。
暗部に入ってからまだ大して経っていないものの、血生臭さから一番懸け離れたこの時間に、どこか安堵している自分がいた。
この穏やかな時間は、きっとリエからのプレゼントだろう。
『イタチ、今日はゆっくりしてきてね!』
家を出るときに、やたらと嬉しそうにそう送り出してくれたリエの笑顔を頭に浮かべて、そう思った。
三代目もこの任務依頼書を渡すときやたらとニコニコしていたし
『お前無愛想なのに子供受けいいよな』
なんて、火影の側近に言われたものだから
リエが三代目に、今日の俺の任務は楽なものにしてくれとでも頼んだのだろう、と簡単に推測出来た。
三代目は、リエには特別甘いから。
……いや、三代目も、か。
子守り中の赤ん坊を見ていて、サスケの産まれたばかりの頃の姿を思い出した。
あんなに小さかったサスケも、随分大きくなった。
俺も同じだけ年をとって、また今日ひとつ年が増えたのだから、当たり前だけど。
命の重さを、あのとき実感した。
戦で簡単に消え逝く命を、守りたいと思った。
「……お前も無事に、大きくなってくれ」
そう声をかけると、赤ん坊は無邪気にキャッキャと笑った。