第6章 心をこめて花束を【うちはイタチ】
最近、サスケの様子がおかしい。
俺が傍にいるとそわそわして、
どうした、と問えば慌てた様子で何でもないと首を振る。
俺の目がサスケに向いていなくても、チラチラと俺の様子を伺っているのは知っているのに。
このところサスケの口癖のようになっている
「修行つけてよ!」でもなさそうだ。
最近任務であまり構ってやれなかったから、拗ねているのか?
でもそれなら、素直に拗ねてくるのがいつものサスケだ。
何か悩んでいるのか…俺には言い辛いことなのだろうか。
しかしそんな俺の疑問は、リエの一言で解決された。
「ねぇイタチ、何か欲しいものとか、したいこととか、ある?」
キラキラした目でそう問うリエは以前にも見たことがあって
質問の意図に気付き近くにかかっていたカレンダーに目を向けて、あぁそういえば、と納得した。
「そうだな……何か美味いものでも食べたいかな」
「美味しいもの?イタチ、何食べたい?」
「……昆布むすび」
「それ、明日でもいいかな?」
「あぁ、楽しみだ」
そう返すと、リエは嬉しそうに笑う。
向こうの部屋ではこっそりサスケがこちらの様子を伺っていて、リエと目配せして小さく頷いていた。
それを見て、サスケもそれを聞きたくてそわそわしていたのかと悟った。
根は素直なくせに素直じゃないな、なんてこっそり笑ったが
幼い二人が、俺の為に飯を用意してくれるであろうことはただただ嬉しい。
明日は6月9日
俺の、誕生日だ。