第5章 優しい月【うちはサスケ】
リエに言われたとおり、顔を洗ってから食卓につく。
食欲は湧かなかったが、つくってくれたリエに悪いから全部食べた。
けれど、食べ慣れているリエの料理の味がわからないくらい、オレの頭の中は後悔と懺悔の念でいっぱいだった。
そんなとき、ふいにリエがこう提案してきた。
「ねぇサスケ……これからは私の家で一緒に暮らさない?ごはんは毎日一緒に食べてるけど、行き来に時間もかかるし…。それに、うちそこそこ広いから、私一人じゃ寂しいんだ。だから…」
ダメかな?と
自分の為にそうしてほしいとリエは言った。
でもそんなの、オレの為に言ってくれたってことくらい、わかっている。
オレが孤独を恐れていることに、リエは気付いているんだ。
だから、オレのつまらないプライドを傷付けないように言葉を選んで、
リエはオレの傍にいてくれようとしている。
どれだけオレは、リエの優しさに守られているのだろうか。
情けねぇ。
「……うん」
それでもオレは弱いから、救いの手に縋り付く。
……本当はずっと、その言葉が欲しかったんだ。