第1章 これからも、ずっと【イタチ&サスケ】
サスケはしかめっ面から困り顔になった。
気持ち伝わったかな。よかった。
でもこの顔は「怒っちゃって悪かったけど、なんか謝りにくいな…」って思ってそう。
「サスケ、これ食べてくれる?」
差し出したままだったミカンも、行き場がなくて困ってるし
引っ込めることは簡単だけど、そうするとサスケもバツが悪くなるだろうなって思ったんだけど。
「で…でも……」
サスケはまた赤くなって、ミカンと、私と、イタチとに視線を彷徨わせて俯いてしまった。
そんなに嫌だったのかな。
悪いことしちゃったなぁ。
そう思ったときだった。
イタチがスッと立ち上がって、ニコリと笑い
「茶をいれて来る」
と、台所に行ってしまった。
お茶なら私が入れるよ、と声をかける間もなく。
行動早いなぁ。
イタチの後ろ姿を目で追っていると、指先に柔らかい感触。
見ると、持ってたミカンがなくなっている。
そして、真っ赤な顔のサスケの口がもごもご動いていた。
「……おいしい?」
「……うん」
あぁ、そっか。
嫌だったんじゃなくて、恥ずかしかったんだね。
「よかった。じゃあもう一個。はい、あーん」
「じ、自分で食べれるから……」
今度は綺麗に剥いたミカンを受け取って、サスケは小さく笑った。
サスケはやっぱり、笑ってる顔が一番だ。