第1章 これからも、ずっと【イタチ&サスケ】
私があげたミカンを食べ終わってから、サスケも自分で剥いたミカンを私にくれた。
サスケの「大好きだよ」の気持ちだったら嬉しいな。
食後のミカン二個目は、正直お腹いっぱいだったけれど「美味しいね」って言い合って、二人でニコニコ。
理想の年末だー
なんて思ってたところに、イタチが三人分のお茶を持って来てくれた。
「今年もあと三時間だな」
そう言うとサスケの頭をくしゃりと撫でて、何事もなかったかのようにコタツに入る。
さっきもそうだったけど、イタチって何でもわかってるみたい。
きっとこのお茶も、あのタイミングで飲みたかったわけじゃなくて
サスケの気持ちを汲んで、わざわざここから見えない台所に行く為に淹れてくれたんだと思う。
今も、敢えてサスケの機嫌に触れないあたり、サスケのことも全部わかってる感じがする。
本当にイタチはすごいなぁ。
「あと三時間かぁ…ただ待ってるだけだと長く感じちゃうね」
ポカポカのコタツに、美味しいミカンに温かいお茶。
お腹もいっぱいだし、ちょっと眠くなっちゃう。
私がそう言うと、サスケは何を閃いたのか、目を輝かせた。
「そうだ兄さん!忍術見せてよ!」
ホント、さっきの機嫌は何処へやら、だね。
「火遁見たいオレ!」
「家の中で出来ないものを言うな」
「じゃぁ写輪眼!」
「そんな簡単に出すものでもないだろう」
そんなやり取りが微笑ましくて、私は思わず笑ってしまった。