第4章 銀狐と少女【はたけカカシ】
「いくらDランク任務でも、人任せにしちゃ駄目じゃないか、カカシ」
かけられた声に振り向くと、空風上忍が仁王立ちしていた。
「いや、犬任せか?」などと呟いているところを見ると、どうやら全てを知っているようだ。
「……ずっと見ていたんですか」
「そんな暇があるならリエの傍から離れたりするわけないだろう!今任務から帰って来たんだよ、全速力で。これから任務報告書の提出!それからようやく愛する娘の元へダッシュだ!」
「じゃぁどうして…」
「お前の行動なんて俺には全部筒抜けなの。この里の風は正直だからな」
な?と同意を求めるように空風上忍がどこかに声をかけると、返事のように一瞬だけ、少し強めの風が吹いた。
……いったいなんだと言うんだ。
特殊な力を持っているのだろうが、この人のこともよくわからない。
「俺の娘は、今のお前には眩しすぎたか?」
その言葉に思わず、ギクリとした。
「図星か?ま、お前の生き方を否定する気はないけどさ…うしろばっかり見るなよ。後悔に溺れて、闇に染まろうとするな。お前は木ノ葉の未来に必要な男なんだから」
…違う。
本当にこの里に必要だったのは
真っ直ぐで、優しさに満ちた
オビトやリンの方だった。
二人とも、俺が殺したも同然なんだ。
「…あなたに何がわかるんですか。知った風なこと言わないでください」
彼の言葉が癇に障って、思わず殺気を出してしまった。
俺の気持ちは誰にもわからない。
理解してほしいとも思わない。
俺の罪は、俺のものだ。
一生背負って、あいつの分まで生きていかなくてはならないんだ。