第4章 銀狐と少女【はたけカカシ】
まぁ、頭の良い奴のことだ。
あの少女に何を聞かれても、余計なことは言わないだろう…
「あの人は、急用が出来てどうしても行かなければならなくなったらしい。俺がいなくなっても大丈夫かとずっとリエを心配していたぞ」
……おい。
笑顔で自然に適当すぎる嘘をつくな!
あのガキ、俺が見ているのをわかっていてわざと言ってるな…
俺の印象を良くしようなどと気を遣ったか?
それとも、途中で少女のことを彼に丸投げした俺への嫌がらせか?
勘違いするな、決して任務放棄ではない。
現に今、こうして彼女の様子は見ている。
”一人にはしない”と彼女と約束したから、それは果たした。
見知った奴が傍にいた方が、彼女の為にもいいだろうと思っただけだ。
……決して、少女の傍が居心地が良すぎて、居づらくなったわけではない。
うちはイタチの言葉に対する少女の反応がなんとなく気になって彼女を見ると、
変わらず赤い頬のまま、その大きな目を輝かせていた。
「そうなの?そっかぁ…やっぱり、すごくやさしいにんじゃさんだね!あったかくて…いっしょにいてくれて、すごくあんしんしたの。
きつねさん、またきてくれるかな?ちゃんと”ありがとう”っていいたいな」
………駄目だ。
彼女の笑顔を見ていると
心が、乱される。
ーーーこれ以上、ここに居てはいけない。
忍犬パックンを口寄せし、俺の代わりを任せる。
パックンは怪訝そうな顔で俺を見上げたが、構わず俺はその場を離れた。
任務は……失敗だ。