第4章 銀狐と少女【はたけカカシ】
夕日が沈みかけた頃、少女は目を覚ました。
「よく眠れたか、リエ」
柔らかく微笑む目の前の人物を見て、少女は目を丸くする。
「…イタチ?なんで?」
「ちょうどさっき任務が終わって帰って来たんだ。リエが風邪で寝込んでいると火影様から聞いてな、様子を見に来たんだが…具合はどうだ?」
「そうなんだ、おかえりなさい。おくすりのんだから、だいじょうぶだよ。きてくれてありがとう、イタチ」
そう笑顔で答えると、キョロキョロと辺りを見回し、首を傾げ少女は呟く。
「…きつねさん、どこいっちゃったのかなぁ?」
「きつねさん?……あぁ、あの人か」
そう零すと、うちはイタチはちらりと意味ありげにこちらに視線を送ってきた。
そう…今はその窓の外の木陰から様子を伺っている俺だが、彼が来たときはまだ少女の傍にいて、うちはイタチと鉢合わせていた。
玄関から入って来た彼は俺の姿を確認して一瞬警戒したものの、
状況をすぐに理解したのか何も問うことなく「お疲れ様です」と頭を下げた。
うちは一族きっての天才との噂は聞いていたが、かなり出来る少年だと俺もすぐに察知した。
そこで、空風上忍もいつも娘の世話を頼んでいるようだし構わないだろうと、彼に後を任せて俺はこうして出てきたわけだ。