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青い果実 番外編 【NARUTO】

第4章 銀狐と少女【はたけカカシ】



それから少女は、熱のせいかトロンとした目をしながらも、布団の中から俺に何度も話かけてきた。


誕生日はいつか、何が好きなのか、どこに住んでいるのか……
そんな普通の質問がいくつも出てくる彼女の口は、休むことを知らないらしい。

全ての質問に「秘密だ」と答えても、嬉しそうに次の話題をふってくる。

変わらず赤い顔のままだが、怠そうだった目は今は輝いていた。



そんなに興味が持てる程、俺は物珍しいか?

それとも、寂しさを紛らわす為に話しかけているだけだろうか。



「……きつねさん」

「なんだ」

「きつねさんは、いつもそのおかおなの?」


そして今更この狐面に疑問を持つのか。

最初から”きつねさん”と呼んでいたのに。


「まぁ」

仕事のときは。
そう付け加えようかと思ったが、詮索されても面倒だったので適当に答える。


「きつねさんみたいなおかお…どこかで見たことある気がする…」

そう言って少女は俺の顔、もとい面をじっと見つめた。




暗部なんて、そう簡単に人前に姿を見せるもんじゃない。

空風上忍だって、暗殺を主とする精鋭を大事な娘にわざわざ会わせることもしないだろうし…


彼女の気のせいだろう。
やはり、変わったことを言う子だ。


「……なんか、ちょっと、いたい」

「風邪が悪化したか?」

左胸を押さえてそう呟いた少女の額に手を当てると、簡単に熱が伝わってきた。


「高いな。さっさと寝ろ」

「でも…きつねさん、せっかくきてくれたのに…」

「俺はお前の看病を依頼されただけだと言っただろう」

「……もっと、おしゃべりしたい」

「遊びに来たわけじゃない」

「わたしねちゃったら、きつねさん、いなくなっちゃう?」


さっきまでの笑顔はどこへ行ったのか
今にも泣き出しそうだ。


…勘弁してくれ。


素性も知れない、優しくもない俺なんかに、どうしてこうも懐けるんだ?


「…見といてやるから。一人にはしない」

少し戸惑いつつも、少女の頭を撫でてやる。


慣れないことをしたせいでむず痒くなったが、不快ではなかった。


「きつねさんの手、大きいね」

そう言って、少女はまた嬉しそうに笑った。
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