そしてこの道が続いたら【Mr.FULLSWING】
第2章 犬飼サイド
××といつものように・・・そうか、もう「いつものように」って思えるぐらいになるのか。
もはやお決まりと言ってもいいぐらい、いつものように並んで夜道を歩く。
ちらっと××を見る。なんか難しい顔して俯いていた。
俺と一緒に帰るのがそんなに嫌なんだろうか?
だとしたらすげえ辛い。
あれか?俺といるのがつまんねえのか?
だとしたら何か話さねえと・・・。
「今日のメニューは辛かったとか、いい投球が出来たとか。世間話ってやつですよ。」
辰の言葉を思い出す。
・・・今日の部活はどうだったっけな。
ランニングして、ストレッチして、それから・・・。
「今日は球の走りがよくなかった。」
「えっ?」
あんまり素っ頓狂な声がするんで見てみると、××の大きな目がこっちを見上げていた。
「あぁ、いや・・・何でもねえ。」
恥ずかしくなって目を逸らす。
××からしたら「だから何?」っつー話だ。
俺からしたら、今日の練習は帰りのことばっか考えて身が入らなくてだな。
つーか俺、自分の悪いとこ話すとか何やってんだよ。
どうすりゃいいんだ・・・もう話なんて続けらんねえぞ。
「でも犬飼君、夏に比べたらすごく球の伸びが良くなったよね。」