そしてこの道が続いたら【Mr.FULLSWING】
第2章 犬飼サイド
自分の耳を疑った。
××の言葉で顔が熱くなるのが分かった。
褒められてる・・・んだよな?
「夏に選抜代表の監督さんにしごかれたからだっけ?」
「あ、あぁ・・・。」
「選抜の時かっこよかったよね。犬飼君のおかげで優勝したって言っても過言じゃないもん。」
やべえ。血液が沸騰する。
かっこいいなんて言われ慣れてるっつーのに。
何より、××が俺のことを見ていてくれたっつーことが嬉しくて。
「どうしたの?」
「とりあえず、何でもねえ・・・。」
あまりのことに手で口元を抑える。やっぱり熱い。
辰がいたら「小学生ですか!」って言われんだろうな。情けねえ。
「そうだ。えっと、蛟竜だっけ?あれってどう投げてるの?」
「蛟竜?」
「うん。ずっと聞いてみたかったんだよねー。」
××が俺と交流を持ちたかったことに胸が締め付けられる。
ずーっと嫌われてると思っていたから。
他の奴にもよく言われるようなことでも、こんな馬鹿みてえに嬉しい。
「まず握りはな・・・。」
相変わらず恥ずかしくて目を合わせらんねーけど、俺は××との会話に全神経を集中させた。