そしてこの道が続いたら【Mr.FULLSWING】
第3章 野球部仲良し1年組
犬飼と○○を2人きりにするのにみんなが言い訳をするのは簡単だった。
家の用事が、監督に呼ばれて、みんなでファミレスへ、犬飼は○○を送れよ。
5分も考えればいくらでも言い訳なんて作れる。
しかしどうしようもなかったのが「犬飼キュンを地獄の底まで追っかけ隊」の存在。
「彼女達があんな場面に突撃したら・・・あぁ、考えるだけで恐ろしい・・・!」
辰羅川の心配はごもっともで、普段マネージャーが犬飼に近付くだけで嫉妬する彼女達だ。
2人きりのいいムードに遭遇でもしようものなら、犬飼が心配するように○○に危害が及ぶかもしれない。
そんなわけで辰羅川はみんなに親衛隊の足止めを依頼することにした。
ちなみにこの事は、犬飼は当然、○○にさえも知らされていない。
まず犬飼が部室を出る前から部室周辺、果ては校門付近までをチェック。
もし親衛隊が出待ちしていたら、部室に残っているメンバーの誰かが全力で犬飼を引き止める。
そして外でチェックしていた組は全力で親衛隊の排除にかかる。
「犬飼君なら裏門からとっくに帰ったよー。走ればまだ間に合うんじゃない?」
「何でも宿題のプリントを忘れたとかで、さっき教室に戻って行ったっすよ?」
「あんな駄犬のどこがいいんだよ!俺様が相手になってやらぁ!」
時には頭を使い、時には体を使い、罵倒され喧嘩し、それでもどうにか引き下がることだけはせず。
一同はどうにか無事に2人をお邪魔虫無しで帰らせることに成功してきた。
代償として精神力を削り、その日は追跡不可能となることがみんなの不満ではあったが、
約3日に1回の戦闘、次の日に聞くとその日は2人の進展も無かったということで、
まぁ必要経費か、明日こそはこの目で見るぞとみんな納得していた。
「なんで俺がバカ犬の親衛隊に殴られなきゃいけねーんだよ・・・イチチッ。」
猿野だけが体もボロボロになり不満を漏らしていたが。