そしてこの道が続いたら【Mr.FULLSWING】
第2章 犬飼サイド
気付いたらもう目の前には駅が迫っていて。
いつもは長く感じられる道が意外と短いことに気付かされた。
もう××と2人きりはこれで最後かもしれねえが、とりあえずは第一歩が踏めた。
辰から見ても及第点、っつーとこじゃねえか?
「じゃあな。」
××に別れを告げ、俺は家に向かって足を進めた。
ちょっとこれ以上は俺の体が持ちそうに無い。熱い頬に手を添えた。
でも明日からは部活中でも会話が出来るかもしれねえ。
俺は満足感に浸っていた。
××と別れて数分後。
「犬飼君!」
背後からの呼びかけに驚いて振り返る。
走って追いかけて来る××。
またあの大きい目と目が合った。
・・・なんで××がこんなとこまで?帰ったんじゃねーのかよ?
「ごめんね!あの、えーっと・・・もうちょっとお話したいな、なーんて・・・。」
ボンッ!
「犬飼君!?」
体がぐらっと揺れて、××が俺の腕を掴むことでどうにか体勢を立て直した。
あ、これ絶対俺の頭から湯気出てる。全身の血液が沸騰してる。
だって可愛過ぎるだろコイツ。
駆け寄って、なんかもじもじしたかと思ったら、話したいって上目遣いとか。
その上で××が俺の腕を掴んでるとか。やべえ。口から心臓が飛び出そうだ。
「と、とにかく、あー・・・そこのベンチで休む?」
俺は半ば引きずられるように、××と公園に立ち寄る事になった。
まさか××とまだ一緒にいられるとか
公園で2人きりで並んでベンチに座るとか
なぜか××の手が俺の腕を掴んだままとか
この時は思いも寄らない事でいっぱいいっぱいだったんだ。