第10章 六つ子が来た日
「お邪魔しまーっす!」
声を揃えて入ってきた六つ子達を見て驚いた。
「・・・スーツ」
「イエーイ!今日はビシッと決めて来たぜ!」
おおお、こうして見るとちゃんとした大人だ。
・・・やべ、見分けつかねえ。
カラ松さんだけはサングラス掛けてるから分かるが・・・。
玄関は六つ子達の靴でいっぱいになる。
「あ!まつふぃーぬちゃんのお母さん、はじめまして。本日はお招きありがとうございます。」
おそ松さんらしき人が挨拶をし、お辞儀をすると他の兄弟も揃って頭を下げる。
「こちらこそ、いつもこの子がお世話になっております。今日は来ていただいて嬉しいわ。それに、六つ子さんなんて初めてお会いして・・・本当にそっくり!」
「あ、写真撮りますー?」
一斉にポーズを取る。
なんだあの手。
「なんスか、そのポーズ。」
「これ?6を形づくってるんだよ♡」
この可愛らしい言い方はトッティさんか?
「へえー。六つ子用のポーズあるんスね。」
オカーサンがケータイで六つ子と私とを撮ってくれる。
誰かが「お母さんも一緒に」と誘ったら、「大丈夫です。」と断っていた。
オカーサンも案外ドライだな。
「ねえ、俺達の見分け付いてる?」
いきなり半目の人が話しかけてくる。
「えーっと・・・カラ松さんは、あの人ですよね?」
「フッ。他の兄弟と全く同じ格好をしていても、俺だということが分かってしまうのか・・・俺の魅力は全身から溢れ出ているために、もはや俺ということを隠せな・・・」
「いや、サングラス持ってるからス。」
「僕分かる~?」
腕をくねくねさせながら聞いてくるのは一人しかいない。
「十四松さん。」
「せーかい!やったあ!」
「じゃあ僕は?」
さっきポーズの意味を教えてくれた人だから、「トッティさん?」
「うんっ!そうだよ♡」
「俺は?分かるよね!」
なんとなくこの人は「おそ松さんっスか。」
「そうそう!大丈夫だよ一松、まつふぃーぬちゃん、ばっちり見分け付いてるよ!」
「ふーん。ならいいけど。」
半目の人は一松さんか。じゃあ、その隣の人がチョロ松さん。
「来たそうそう騒がしくてすみません。」
オカーサンに謝っている。
間違いない。あの常識人はチョロ松さんだ。