第8章 ひらめき
「ただいま。」
今日は家の中が静かだ。
「おかえりなさい。ちゃんと帰ってきてくれて、ありがとう。」
「一々ありがとうとか、気を遣わないで下さい。」
「あら、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんだけど・・・。」
オカーサンは私が何を言っても寂しそうな顔をする。その度に気まずくなるのが嫌になる。
「・・・親父は?」
「今夜はお付き合いで遅いんですって。私達でご飯にしましょうね。」
何の付き合いだか。オカーサンもなんで親父なんかと結婚したんだろ。この人なら、もっといい相手いるだろうに。
夕飯は静かだった。
親父がいないのはホッとするが、オカーサンと二人きりなのも辛いものがある。
しかもオカーサン、あんまり料理上手くないんだよな。まずいって訳じゃないんだけど・・・。
「今日は久し振りにまつふぃーぬちゃんとお夕飯でしょ。頑張って作ったの。」
「あー、ウマイっす。」無理して私はハンバーグを口に詰める。昼に食ったオムライスが懐かしい。
「今日はお友達と遊んだの?」
「あ、はい。」
「どんなお友達?」
「ん・・・六つ子なんスけど。賑やかっスね。」
「六つ子?珍しいわね!」
オカーサンは目を丸くする。
「私もお会いしたいわ。6人もいたら、楽しいわね。」
オカーサンはちょっとだけ、楽しそうに言った。
この人のこんな顔は初めて見る。
その時、私はひらめいた。