第7章 日曜日 午前10時
「いや、自分片付けるんで。つか、片付けさせて下さい。」
「俺も手伝う!」
「僕がやる!」
「十四松、お前は皿割りそうだからダメ!僕がやるよ!」
「ここは俺の出番だろ・・・!」
「クソ松兄さんは引っ込んでて。僕と洗おうね、まつふぃーぬちゃん♡」
「いや、俺がやるから。」
誰でもいいよ、早く片付けようぜ。
「あー、じゃんけんはどうスか?」
「よし。じゃんけんにしよう。」
おそ松さんが合図をする。
六つ子達が手を振り下ろした次の瞬間、一松さんがニヤリと拳を突き上げた。
他の兄弟達はすごすごと引き上げていく。
私が洗い、一松さんがタオルで拭くことになった。
「一松さんって、猫好きなんスか?」
「うん。まあ。」
「へー。猫の中でこの種類が好きとかあるんスか。」
「いや・・・猫科ならなんでも。」
猫科?
「猫科って、虎とかライオンとかスか?」
「ん。この間は懲らしめるために虎に協力してもらった。」
誰を懲らしめたんだ・・・?ってか、そこで虎使うとか恐いな。やばい、十四松さんとは違う方向に捉えどころが無い。
軽く鳥肌が立つ。
「・・・寒いの?」
「え?あ、大丈夫っス。」
寒いんじゃないです。一松さんが恐いんです。
「猫嫌い?」
「嫌いではないっスよ。ふつーっス。あ、子猫とかはすげー可愛いと思いますけど。」
「子猫は・・・可愛いよね。」
一松さんは微笑みながら言う。本当に猫好きだな、この人。
「一松、遅いよ!」
おそ松さんが台所に入ってくる。
「俺、待ちくたびれちゃった。適当に切り上げて、トランプでもやろうぜ!」
「サーセン、もうちょっとで終わるんで。」
「まつふぃーぬちゃん、そんなの一松に任しておけばいいよ。」
「いや、だめっス。決めたことは最後までやるっス。」
おそ松さんの後ろにいたチョロ松さんが、「まつふぃーぬちゃん偉いね。」と褒めてくれた。
「おそ松兄さん、上で待ってよ。まつふぃーぬちゃんも後少しって言ってるし。」
「ちぇー。早くまつふぃーぬちゃんと遊びたいなー。」
「おそ松兄さん、この皿で終わる。」
「おっ、そうか!じゃあトランプの用意してるな!」
おそ松さんは急に笑顔になって、鼻歌まじりに台所を出て行った。