第7章 日曜日 午前10時
「ただいまー!まつふぃーぬ連れて来たぞ!」
奥の方からバタバタと足音が迫ってくる。
「まつふぃーぬちゃん、待ってたよ!」
「早く上がって!」
「お邪魔します。」
早速、居間へと通される。
すると、トッティさんがエプロンを着けて出て来た。
「まつふぃーぬちゃん待ってたよ♡」
「あれ?トッティさん、エプロン・・・」
「今日はまつふぃーぬちゃんが来てくれるから、僕が作ったんだ♡」
そう言って、オムライスを運んできてくれた。
「わ、うまそう。」
「本当?嬉しいな♡」
急いで手を洗い、居間へ戻る。
「まつふぃーぬちゃんの分はこれだよ。たくさん食べてね!」
トッティさんが、ほかほかと湯気を立てているオムライスを差し出してくれる。
しかも、ケチャップで大きなハートが描かれている。
私は兄弟達と声を揃えて、いただきますと手を合わせた。
「うまいっス!トッティさん、料理好きなんスか?」
「んー、たまに作るぐらいだけどね♡」
優しい菜の花色のオムライスは、いくらでも食べられそうだ。
「トッティさんすげー。めっちゃうまいっス。」
「やるなトッティ!」
「トド松は、昨日母さんに作り方を一生懸命教わってたからな。このオムライスはブラザーの努力の結晶だ。」
「まつふぃーぬちゃんに喜んでほしくて♡」
「台所ひでーことになってるけどな!」
今まで、私のために一生懸命何かをしてくれる人がいたろうか。実の親父でさえ、あんななのに・・・。
「ありがとうございます。」
「えっ、かしこまらないでよ!美味しいって言ってくれただけで嬉しいよ♡」
「あざっす。」
涙がこみ上げて、私はきれいになったオムライスの皿を必死に見つめていた。