第5章 家へ
すっかり満腹になる。食事が美味しいのも久し振りだった。
後片付けを手伝おうとすると、「ニート達にさせるからいいのよ。」と、おばさんが言って下さる。
「じゃあ、もう帰ります。本当にご馳走様でした。美味しかったです。」
「こちらこそ、息子達がワガママ言ってごめんなさいね。また、いつでも来てね。」
「まつふぃーぬちゃんなら、おじさんも大歓迎だ。」
「ありがとうございます。じゃあ、失礼します。」
「俺達、送っていくよ。」
おじさんとおばさんにお礼をして、玄関を出る。外は寒い。
「うー!冷えるなあ。」
「まつふぃーぬちゃん、寒くない?平気?」
「あ、大丈夫ス。」
「お家どこなの?」
チョロ松さんに家の住所を言うと、スマホで地図を検索してくれた。
「ここから一駅ぐらいだね。でも、駅へ行くと遠回りだな。」
「まつふぃーぬちゃんがいいなら歩いていこうぜ。」
おそ松さんの意見に、私も「はい」と頷いた。
皆でガヤガヤ言いながら歩く。こんなに賑やかなの初めてだ。家に着かなきゃいいのに。
しばらく歩くと、アパートが見えた。
「ここっス。すいません、今日はありがとうございます。」
「俺達こそありがとうだよ!まつふぃーぬちゃん、また家来てな!」
「キャッチボールしようね!」
「まつふぃーぬ、何かあったら俺の所へ来るんだぞ。」
「・・・また来てよ。」
「まつふぃーぬちゃん、連絡先教えて♡」
トッティだけずるいぞ!と一松さん以外の兄弟が叫ぶ。一松さんは血走った目で睨んでいる。
「全員と交換するの大変なんで、代表者としてもいいスか。」
「分かった。」と兄弟達が頷き、おそ松さんがジャンケンの合図をする。
「勝った!」チョロ松さんが叫ぶ。良かった。安全牌だ。
「じゃあまたねー!」
六つ子達とまつふぃーぬは手を振り、別れた。
まつふぃーぬは溜め息をつきながら、アパートの階段を上がっていく。