第4章 夕飯
喋っていると、おばさんが鍋を卓上コンロにかけた。
「イエーイ!すき焼きフゥー!」
肉、春菊、白滝といった具がぐつぐつと煮立った割下に入れられていく。
肉に火が通ったかなと思った瞬間、もう無い。
「あ!俺の肉が!」
「もたもたしてるお前が悪いんだよ。」
「僕まだ二枚しか食べてない!」
「僕なんか一枚だよ!」
「お前のよこせ!」
すげー騒ぎ。あっけにとられるわ、この光景。
「こらっ!ニート達!まつふぃーぬちゃんの分がなくなるじゃない!」
「はっ!!!!!!」
「い、いや、大丈夫です。」
その時、十四松さんが「ごめんね、僕のあげる。」と言って、私の皿に肉を入れてくれた。
「いや、いいスよ。十四松さん食べて下さい。」
「ううん、僕もう食べたからいいよ。まつふぃーぬちゃんにあげる。」
十四松さん優しいな。
「俺としたことがカラ松ガールの分を忘れるなんて・・・すまないまつふぃーぬ。この肉も食べてくれ。」
「俺もごめんな。はい。」
「僕のも食べてよ。」
「俺のも・・・」
「ごめんねまつふぃーぬちゃん、僕のも食べて。」
六つ子が一斉に私の皿に肉を投入する。もう皿から肉が溢れそうだ。
「あ、あざっす・・・」
「おいおい、そんなにしたらまつふぃーぬちゃんが困るじゃないか。なあ、まつふぃーぬちゃん。」
「あ、はい・・・。」
「え!?困るの?」
「いや、その、嬉しいっス。」
十四松さんは嬉しそうな顔をする。やばい、この人、年上なのに可愛い。
皆から貰った熱々の肉を口に頬張る。うまい。
それに、湯気を立てるすき焼きの鍋を囲みながら、皆でわいわい言いながら食事をするなんて小さい時以来だ。
涙がこぼれそうになる。