第4章 夕飯
「まつふぃーぬちゃん、丁度良かったわ。今夜はすき焼きよ!」
おお、すき焼きなんて久し振りだ。
「すき焼き!?」
「ぅわーい!すーき焼きだぁー!!」
「フッ、これは肉を肉で巻いて食べる肉食系肉の俺の出番だな。」
「クソ松、お前の分、全部食べてやるよ。」
「いや、いい歳してお前らハシャギ過ぎだよ。」
「じゃあチョロ松の分は俺が食べるわ。」
「なんでだよ、おそ松兄さん!」
すごいな、大人の男がすき焼きにテンション上がりまくってる。
「早く食べよー!」
「ニート達、ちゃんと着替えて、手を洗ってきなさい。」
「はーい!」
「まつふぃーぬちゃん、僕達すぐに着替えてくるから、待っててね♡」
「うっす。」
六つ子達は二階へドタドタと上っていく。
「あの、お手伝いします。」
おばさんは「女の子は気が利くわねー」と言いいながら、「あ、制服汚しちゃまずいわよね。今、エプロン出すわ。」と、箪笥からエプロンを出し、貸して下さる。
「まあ!似合うわね、可愛いわ!」
「ありがとうございます。」
エプロンなんて、中学でやった調理実習の時以来だな。
人数分の箸や取り皿を並べていると、またドタドタと階段の音がした。
「まつふぃーぬちゃん、お待たせー!」
束の間の沈黙が流れる。
「・・・か、可愛い!!!」
「なになに、超可愛い!!」
「それ、母さんのエプロン?すっごい可愛い!」
「母さん、ナイス!」
うるせーよと思いつつ、少し顔がにやける。やべぇ。
「それ、脱がない方がいいよ。似合ってるから。」
一松さん?なんか、嬉しい。さっきまで暗くて苦手と思ってたのに、急に好感を抱いてしまう。
・・・と、ちょっと待て。
なぜ全員がツナギを着ている。色違いだが、同じ格好。
一松さんは喋り方が淡々としてるから分かった。それにパーカーと同じ紫だしな。
ということは、赤いパーカーの人は赤いツナギか?
カラ松はどれだ?あいつ、サングラス外したら分かんなくなったぞ。
一番まともなチョロ松さんは何色なんだ?十四松さんは?女みたいなのは?
「まつふぃーぬちゃん、目を白黒させてどうしたの?」
「あの、すいません。もう一回、名前いいスか?」
「俺?おそ松だよ。六つ子だから、一度に覚えるの大変だよね。だから、俺だけ覚えればいいよ♪」