第4章 夕飯
私がまごついてるのを見て、おばさんが「まつふぃーぬちゃん、私が変わりましょう。」と、受話器を取ってくれた。
「もしもし、私、松野と申す者ですが・・・。ええ、今日、宅の息子がお嬢さんに怪我をさせてしまい・・・、いえ、本当に申し訳ございません。お詫びに宅でお夕飯をと思い・・・いえいえ・・・」
「なんで、おばさん怪我とかご存知なんスか?」
小声でチョロ松さんに尋ねる。
「ああ、まつふぃーぬちゃんが電話してる間に説明したんだ。」
おばさんが受話器をもう一度差し出す。口が「代わって」という形で動く。「すみません。」と言って、受話器を取る。
「まつふぃーぬちゃん?松野さんとお話して、ちゃんとしたお宅ってことは分かったわ。けれど、お夕飯いただいたら真っ直ぐ帰ってね。」
「帰るな!お前は俺の娘なんかじゃねえ!」
おい、おばさんが話して下さってる間もわめいてたんじゃねーだろなハゲ。黙れ、永遠に黙れ。
「分かりました。じゃあ。」
電話を切る。
「おばさん、あの、すみませんでした。ご迷惑おかけして本当に申し訳ありません。」
「あら、いいのよ!それより十四松が本当にごめんなさいね。」
さっぱりとした笑顔で、おばさんは微笑んでくれる。
こういうお母さんいいよな・・・。
「飯にしようぜ!」
改めて、赤いパーカーの人が居間へと案内してくれた。