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🌸淡い恋心🌺季節🍁イベント❄️

第1章 バレンタインデー【ブン太/跡部/岳人】


【テニスの王子様/向日岳人編】


「えっ?……悠鬼、熱出したのか?」

「そうなのよ、だから今日は学校休ませるわね」

「じゃあ、少し様子見て来る」

「ありがとう、岳人くん」

いつもの様に学校に行こうと、俺は彼女である悠鬼の家へ迎えに行った。
玄関から出て来たのは悠鬼本人ではなく母親の方で、事情を聞いた俺は心配して悠鬼の部屋に続く階段を上る。

勿論熱も心配してるけど、今日はあいつが凄く楽しみにしてたから……
付き合って初めてのバレンタインデーで、あいつが張り切ってたのを俺は知っている。

きっと悠鬼は……



「悠鬼?……入るぞ?」

悠鬼の部屋の前に着き、ドアをノックして中に入る。
彼女は布団の中に頭まですっぽり潜っている。
俺は静かに近付いて様子を伺うと、布団の中で鼻を啜りながらやっぱり泣いていた。

「悠鬼?」

俺はベッドに腰掛けて悠鬼の顔を見ようと掛け布団を捲った瞬間、彼女は俺の腰に抱き付きギュッと顔を埋めて来る。

『……ふぇ……チョコ、作れなかったのっ……』

「うん、残念だけど仕方ねぇな……」

『岳ちゃっ……喜んで貰いたかっ……のにぃ』

「解ってるから泣くなよ……熱、上がるぜ?」

多分朝起きてからずっと泣いて居たのか、悠鬼の目尻と頬はリンゴの様に真っ赤に染まっている。
目からはどんどん涙が溢れ俺の服を濡らす。

俺は彼女を慰めたくてその気持ちを無駄にしたくなくて、悠鬼の顔を上げさせると唇にキスを落とす。

『……んっ……ふぁ……』

角度を変えて何度もチュッチュッと、触れるだけの優しい口付けをする。
顔を離すと恥ずかしそうに口を押さえる悠鬼と目が合う。

涙目・真っ赤な頬・上目遣いにキュンと胸が高鳴り、俺は腕の中に悠鬼を抱き締める。

「おばさん達、仕事だって言ってたから俺が一日居て看病してやる……いっぱい甘えろよ?」

『ダメ!……岳ちゃんに移っちゃ……んぅ~』

俺の心配している悠鬼の口を塞ぎ、口を開かせると少し強めにチュゥーっと吸い上げる。

まるで風邪菌を奪うかの様に……

「それで楽になるなら貰ってやるから……お前はちゃんと寝て治せ」

『うんっ……』
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