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🌸淡い恋心🌺季節🍁イベント❄️

第1章 バレンタインデー【ブン太/跡部/岳人】



『景……ちゃん、帰ったんじゃないの?』

「帰れるかよ、お前から貰ってねぇのに」

『あげないって言ったでしょ?』

「はぁ……ったく、お前は……」

私は素直に渡せずツンっと、そっぽを向いて冷たく言ってしまう。
景ちゃんは呆れた様に溜め息を吐くと、私を自分の方に向かせて顔を近付けて来る。
私の脳は急な展開に付いて行けず、唇にキスされた事を中々気付けないでいた。

漸く彼が何をして来たのか理解した私は、胸の奥でずっとつっかえていた何かが外れる様な感覚が起こり、目尻から涙を流す。

「俺は悠鬼のが欲しい」

『……っ……何で私なの?……別に高くないし、味だって普通だし……』

「お前のには気持ちが籠ってんだろ?……だったら俺はそのチョコが食いたい」

『……ふぇ……絶対好きにならないって思ってたのにッ……ムカつく』

「ふっ……俺様に惚れない女なんて居ねぇんだよ」

『……バカっ』

私達はもう一度唇を重ね合わせた。
私達は言葉よりも態度で示す方が伝わりやすいのかも知れない。
急に面と向かって素直になれる訳じゃないけど、時間と共に解り合えたら嬉しい。

そしたら私も少しは自信を持って、貴方の隣に立てるのかな?

私達はお互いに「好き」と耳元で囁き合い、その日から恋人同士になった。










「何でだよ!」

『ダメなものはダメなの!』

「あの二人、何喧嘩してんだ?」

「付き合うてる事、跡部が全校生徒の前で公表する言うて」

『絶対言ったらダメ!』

「だから何でだよ!」

『んと……あっ!……秘密にして置く方がドキドキしない?……スリルがあって』

「秘密?」

『公表するのはもう少し待って?……私達がもっと恋人らしくなってから、まだ恥ずかしいもんっ……』

「……っ……し、仕方ねぇな……悠鬼がそう言うなら構わねぇよ」




「あの空気うぜぇ……」

「あぁ、部室に居ないで欲しい」

「……うぅ……悠鬼先輩っ」

「まぁまぁ、そう落ち込まんと鳳。相手が悪いわ」

「俺、本気だったんですよ?なのに……」

「悠鬼ちゃんには、可愛い後輩くらいしか見られてへんで?」

「知ってますよ!」




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