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🌸淡い恋心🌺季節🍁イベント❄️

第1章 バレンタインデー【ブン太/跡部/岳人】



私は長ちゃんから離れて俺様部長の傍に行くと、顔色を伺う様に覗き込む。

『その辺のスーパーで買ったチョコで、庶民が作った物だよ?……それでも景ちゃんは欲しい?』

「そいつ等にやる前に俺様に寄越すべきだろ……まぁ、庶民の食いモンが俺の口に合う訳ねぇが、貰ってやるから有り難く思え」

その発言にイラっとした私は、寄越せと差し出して来た景ちゃんの掌をペチンと引っ張ったく。

彼を叩ける女の子は中々居ないでしょう!

実際イケメンで実力もあるし、景ちゃんは黙って居ればずっとカッコイイとは私も思う。
しかし私は他の子の様に、彼に対して甘くありません!

『ならあげません!景ちゃんは食べ切れない程貰ってるんだから、態々受け取って貰わなくて結構です!』

そう言い残して私はパタンっと部室から出て行く。


「あのアマっ……俺様を引っ叩きやがって……」

「跡部は去年も一昨年も貰えへんかったからなぁ……気の毒やわ」

「アーン?俺は別にあいつのなんか欲しくねぇよ」

「……ったく、跡部も悠鬼も素直じゃねぇからな。」

「鈍すぎですね」

「跡部さんが本気じゃないなら……俺、悠鬼先輩に告白しますよ?」

「……てめぇ……鳳」

「俺は本気で悠鬼先輩が好きです、跡部さんには負けませんよ」

「……良い度胸じゃねぇか」

悠鬼の前だとあわあわと緊張して動揺を見せる鳳だが、跡部に宣戦布告した彼はとても強気な態度でいる。

跡部と鳳の間にはバチバチと火花が散っていた。






放課後の練習が終り、部員達が帰っても私は部室に一人残っていた。
そして一箱のチョコを胸に抱いてロッカーの前に立つ。

【跡部】と書かれたロッカーに触れて、暗い表情を浮かべながら深い溜め息を吐く。

今年で三回目。
彼にあげたい気持ちはあるが、どうしても一歩が踏み出せないでいる。
出逢った時は嫌いだった筈なのに、今では彼を想うと胸を締め付けられる様に苦しい。

「……悠鬼」

『っ!?』

背後から声がしたかと思うと、彼は私の後ろからロッカーに両手を付いて逃げられない様にする。
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