第5章 クリスマスor正月【虎太/勝呂/黒子】
いつも無愛想で悠鬼に迫られても軽くあしらわれたり、照れる事もあるけど勝呂の方から悠鬼に何かをする事は滅多にない。
なので勝呂から不意に大胆発言を聞いた悠鬼は、一瞬驚くが見る見るうちに目が輝いて行き、反対に勝呂は自分が言った事ではないので驚愕しながら周りをキョロキョロ見回していると、背後には志摩の姿があった。
『そんなん竜ちゃんならいくらでもしたるでぇー!どこがえぇ?……おでこ?ほっぺー?お口ぃー?』
「俺が言うたんとちゃうやろ!?離れろや!」
「……お口」
『まぁ!?竜ちゃんがそないに大胆やなんてっ……あたしも恥ずかしいわぁ!』
「志摩ぁー!!えぇ加減にせぇよ!」
そうして勝呂は前は悠鬼に抱き付かれて迫られ、後ろにはコソコソと思ってもいない事を呟く志摩に挟まれて必死に抵抗を見せる。
必死過ぎて頬を赤く染めてる勝呂を愛おしく感じてしまい、悠鬼は大胆にも人前でその頬にちゅっと唇を触れさせる。
(ファーストキスは……いつか竜ちゃんの方からしてくれたらえぇなぁ……)
後日、クリスマスはやはり行えなかったが、その分大晦日も正月も一緒に居て初詣にも行った。
初詣に行った際、悠鬼はおみくじの恋愛運の箇所を真剣に読み、恋愛成就の守りを三つくらい買って居た。
更には絵馬も三つくらい書いていたのだ。
それを呆れた様に溜息吐いて見て居た勝呂は……
「悠鬼、そないに欲張ったらアカンやろ?」
『えぇの!基本的には同じなんやから……あ、いくら竜ちゃんでも見せられへんで』
「そないな事せぇへんわ、アホ」
どうせこいつの願いは俺との事ばかりや、見んでも分かる。
・竜ちゃんが無茶しませんように
・竜ちゃんと立派な祓魔師になれますように
・竜ちゃんの傍にずっと居れたらえぇなぁ
それでも気になるから盗み見たら、そないな事が書かれとった。
俺は前を歩く悠鬼の頭を撫でて……
「……俺もや」
ボソボソと呟いて悠鬼の手から恋愛成就の守りを奪い取り、照れた様に顔を背ける俺を見て、悠鬼は幸せそうに笑みを浮かべながら俺の手を握った。
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