第4章 クリスマスor正月【岳人/長太郎/跡部】
長太郎と悠鬼は駅から離れて予約していたレストランで昼食を取り、買い物をしたりとデートを楽しんだ。
『後はイルミネーションを見て、観覧車に乗ろう?……凄く素敵なんだって!』
「はいっ……じゃ、夜になるまでツリーの近くにあるカフェでお茶でもッ」
『良いねぇ!……あそこに良い雰囲気のお店があるよ!』
ードサッ!ー
「キャー!人が倒れたわよ!」
「早く救急車!」
『えっ……長ちゃん!?』
隣を歩いていた長太郎が突然姿を消したかと思うと、後ろから色んな人達の悲鳴が聞こえた為、悠鬼は不思議に思いながら後ろを振り向く。
先程まで話していた筈の長太郎は、道に俯せの状態で倒れていた。
悠鬼が慌てて近付くと、相手は真っ赤な顔で意識を失っていた。
「んっ……?……ここは……」
『あ、長ちゃん……目が覚めた?』
「悠鬼先輩……!?……っつ!!」
『ダメよ、急に起き上がったら!……長ちゃんお熱出して倒れちゃったんだよ?』
「……っ……すみません、先輩」
長太郎が目を覚ますと視界には真っ白な天井が映り、そして起きたのに気付くと悠鬼が顔を覗かせて来た。
ボーっとした意識の中で相手を見た長太郎は思い出したのか、ガバっと勢い良く起き上がった衝動で頭痛が走る。
悠鬼によって再びベッドへと寝かされれば、長太郎は酷く申し訳なさそうに眉を寄せて謝罪をして来る。
街中で倒れて救急車で運ばれ、現在は病院にいる事を彼女の口から知らされれば、益々情けなく思ってしまい。
長太郎はしゅんと落ち込んでしまう。
『何でちゃんとお熱がある事、私に言わなかったの?』
「……言ったらデート出来なくなるじゃないですかっ……」
『当たり前じゃない!ずっと辛かったでしょ?……私も気付いてあげられなくて、ごめんね?』
「…っ!?…先輩は何も悪くありません!俺がっ…」
『もう気にしなくて良いから、今日は入院してゆっくり休んで?』
「……っ……」
悠鬼に謝らせてしまった事に、とても苦痛と罪悪感を覚えた長太郎。
そんな相手に優しい口調でそう告げ頭を撫でると、悠鬼はバッグを持って病室を出て行こうとするが、手首を掴まれて止められてしまう。