第2章 バレンタインデー【黄瀬/緑間/青峰】
「そういう事だ、行くぞ」
『えっ、そっち真ちゃん家じゃないよ?』
「送って行ってやるのだよ」
悠鬼からチョコを受け取った緑間は、自宅とは逆方向に歩き出す。
彼の行動に不思議に思った悠鬼だが、理由を聞くとニコニコと嬉しそうに笑顔を見せ、緑間の隣を歩き始める。
彼はそっと横目に彼女の後頭部を見ると、不意に優しく撫でる。
「悪かったな、庇えなかった上にあんな事して」
『だ、大丈夫だよ!私石頭だし……それにちょっと嬉しかったしっ』
頭を撫でながら心配そうに見て来る緑間に、胸の奥をきゅんと高鳴らせ顔を真っ赤に染める悠鬼。
今日は普段見れない彼が見れたので、それも嬉しいが緑間が自分を意識してくれたのなら、それが一番嬉しいのだ。
悠鬼が顔を赤くした為、せっかく治まって来た緑間にも映ってしまい、また彼も顔を真っ赤に染めてしまう。
それを見た悠鬼は、彼の腕に抱き付き…
『ふふ、真ちゃん大好き!』
「……っ……もう何も言うな」
『真ちゃんももう一回言って?』
「言わないのだよっ」
『もう一回で良いからぁ!』
「……ッ……好きだ」
悠鬼の我儘に応えてくれた緑間だが、目を合わせず赤い顔を見られない様に背けられる。
その姿が本当に愛しく、悠鬼は緑間の火照る頬に柔らかい唇を触れさせた。
ー翌日ー
「真ちゃん、昨日どのくらいあった?」
「?……一つだ」
「ん?……チョコじゃなくて悠鬼ちゃんのむ・ね!……余った?それとも足りない?」
「……っ!?……知らん!」
「貧乳じゃないと思うけど……C?」
『Dはあるよ!』
「マジ!?……真ちゃんやる~!……悠鬼ちゃん!?」
「悠鬼……お前には恥じらいがないのか?」
『だって真太郎だし……』
(悠鬼?真太郎?)
「何?……二人、付き合い始めたの?」
『うん!昨日から』
「急だなぁ、呼び捨て……」
「こいつがそう呼べとしつこいからなのだよ」
『へへっ、良いでしょ?真太郎』
「……っ……煩いのだよ」
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