第2章 バレンタインデー【黄瀬/緑間/青峰】
悠っちは『受け取って?』と、自分が用意していたチョコの箱を開け、一つ摘まむと俺の口元に近付けて来る。
まさか食べさせてくれるとは思って居なかったので、俺は顔を赤く染めて驚いてしまう。
悠っちにそんな可愛い事をされて拒める訳もないので、俺は緊張しながらも彼女の手作りチョコを口に含める。
『……どう?美味しいかな?』
「……っ……旨いっスッ、今まで食べたどのチョコよりも!」
『もう、泣かなくても良いじゃないっ……私も食べちゃおう!』
悠っちが食べさせてくれた事で更に感激した俺は、口を押さえて半泣きしてしまう。
来て良かったぁ!
そして俺が渡したチョコを開け始めた悠っち。
自分で食べようとしてたのを俺が手で制すると、彼女と同じ様に俺も悠っちの口元にチョコを近付ける。
「悠っちも、あ~ん。」
『……っ……ぁ、あ~んッ』
俺に食べさせてくれた時は平然としてたのに、いざ自分がされると恥ずかしがる悠っち。
頬を赤く染めて戸惑っているが、そっと口を開いて食べてくれる。
それがきゅんと俺の鼓動を高鳴らせ、あまりの可愛さに俺は悠っちの唇を奪う。
『んっ……』
「返事、聞かせて下さい」
『私も黄瀬くんが好きよ、大好き』
「俺も悠っちが大好きっス!」
玄関先で俺達は抱き締め合い、互いの唇を重ね合わせた。
甘いチョコの味がして、照れ臭そうに見つめ合いニコッと笑みを見せる。
俺の勝ちっス!
悠っちは誰にも渡さない!
「それはどうかなぁ~」
「えっ?」
「だな、黄瀬なら直ぐに奪えるって」
「何スか!?それ!」
「芸能人は信用出来ねぇよなぁ?見えねぇところで浮気出来るし……」
「ねぇ~?芸能人って直ぐ破局するじゃん」
「黄瀬はチャラいからな、信用出来ないのだよ」
「なっ!?……不吉な事言わないで欲しいっス!悠っちとは絶対別れないっスからね!……」
「チッ……早く別れちゃえば良いのに」
「紫っちには渡さないっス!」
「俺に取られない様に頑張れ~」
(あのバカにした顔がムカつくっ!俺が勝ったのにー!)
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