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【黒バス:R18】with gratitude

第8章 As if walking slowly(黄瀬涼太)


その後、ふたりで産婦人科に行った。
もう9週を過ぎていて、心拍確認もできた。
出産予定日は来年の1月になりそうだ。

そのまま息子を実家に迎えに行ったが、まさかの「ばーばんちにお泊まりしたい」発言。

久しぶりに皆と遊べたのが本当に楽しかったらしく、テコでも動かない様子に、今日はこのまま実家で面倒を見てもらう事にした。
車に着替えを常備してて良かった。

自宅に戻ると、なんだか不思議な感じだ。

「家族三人になってから、夜ふたりきりになるのは初めてだね」

「オレも思ってた。チビが一人いないだけでこんなに静かになっちゃうんスね」

「ふふ、なんだか寂しいね」

あの小さな生命体の存在感に驚きながら、リビングへと戻った。

「コーヒーの匂い、ダメみたいっスね」

「うん……ごめんなさい、最初の妊娠の時と全然違うから、ピンとも来てなかった」

同じ腹だというのに、こんなにも違うものなのか。
一人目と二人目じゃ何もかも違う、と言っていたチームメイトを思い出した。

温かい飲み物はやめておいて、冷やしてあったルイボスティーを飲む事にする。

「辛かったら横になってていいんスよ」

「大丈夫だよ、ありがとう。涼太、お腹空いたでしょう。今作るから」

「ちょーいちょい待って! いいから! 腹減ってないし!」

ソファに鎖で繋いでおかないといけないだろうか。
すぐ働こうとするんだから。

「そんなこと言って、もう夜だよ。お腹空いてるんじゃない?」

「いやオレも今、なんというか、胸いっぱいな感じなんスわ」

それは全くウソなんかじゃなくて、みわが妊娠検査薬を使ったあたりからもうなんか、みぞおちから上がポワーンってしてる。



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