第13章 Mic check!(黄瀬涼太)
「あったよ……涼太のこと、運だけ、とか言ってたやつ、とか」
「あー、最初のやつか。もう忘れてたっスわ。いやオレはホントにラッキーだからね。こんな可愛い嫁さん捕まえて」
「ラッキー、なのは涼太じゃなくて……私、なんだけどな」
「それじゃあオレら夫婦でラッキーだから、この先もずっと安泰っスねえ」
額をこつんと合わせて、ビー玉みたいな綺麗な瞳と視線を合わせた。
微笑んで口付けをかわすと、胸の真ん中がほわっとあたたかくなる。
「なーんか、自分の事で怒ってくれる人がいるって、幸せだなって、思ったんス」
そうぽつりと呟いた涼太は、なんだか泣きそうに見えた。
なんか、どう返したらいいのかが分からなくて、今度は私が包み込むように抱きしめた。
もう、ふたりに言葉はなかった。
私だって、ずっとずっと幸せなのは、涼太がいてくれるからだ。
もちろん大変なこともあるけど、頑張れる。
大好きなひとたちと過ごす、大好きな時間があるから。
他人から投げつけられる悪意になんて、負けないよ。
あぁ、ぽかぽか幸せで……意識が溶けてくる。
毎年、お祝いさせてくれてありがとう。
「涼太……お誕生日、おめでとう。生まれてきてくれて……」
そこまで喋って、気がつけば夢の中にいた。
大きな手が、撫でてくれた気がした。
Happy Birthday,RYOTA♡♡♡